Interview Vol.01
-- 前作となった4thフルアルバム『アメジスト』は原点回帰的な作品であったと思うんです。そこからの流れとして、改めて自分たちの長所や特徴を再確認したようなところもあるのかなと想像したんですが、そのあたりについては?
大月義隆(G.) 楽曲的な話ではないんですけど、バンドの立ち位置や立ち姿だったり、そのあたりについてはひとつ見えてきたモノがあるのかなって。他にはない、UNLIMITSという存在になってきてるというか。加えて、今までやってきたことが身になった、ちゃんと土台になってることも感じたりもして。
-- この約2年3ヶ月というリリースのない間、これまでの作品にフォーカスしたコンセプトワンマンを開催してきたこともあって、楽曲に関しても客観的視点と言いますか、やりたいことや求められるモノに対して冷静に考えるようになったのかなと。
大月 あっ、それはあるかもしれないですね。ただ、そこを意識してそうなったというよりも、ナチュラルにそうなってきたという気がしてます。前向きな姿勢としてではあるんですけど、背伸びしても仕方ないというか。できないようなことを無理にやろうとしても意味がないじゃないですか。そういうことを気づいたりもしたし。
-- では、今回の作品について伺っていきますが、いざ制作へ向かおうとしたとき、何かしらのイメージは持っていましたか?
郡島陽子(Dr./Vo.) フルアルバムは5枚目なんですけど、いつも「こういう風にしよう」みたいなのは決めてなくて。曲を作っていく中で、物語やバリエーションを考えていき、自然とバランスがとれて1枚になっていくみたいな感じなんですよね。
石島直和(Ba.) で、少しずつ曲が並び始めていくと「こういうリズムがあったらいいな」とか「ああいうコード感も欲しいよね」みたいなのが出てくるみたいな。
-- 制作当初では終着点をあまり考えずに曲を作っていくことから始まるという。
大月 楽曲単体ではイメージがあったりもしますけど、全体像としては出来上がっていく中で考えていきますね。
-- 楽曲の根幹を作ることが多い清水さんの心境としても、とにかくいい曲を作ることだけをまずは考えました?
清水葉子(Vo./G.) そうですね。まず、今の自分がやりたい音楽をとにかく作っていって。そこから、メンバーの意見をヒントにしたりしながら、さらに突き詰めていくような流れでした。だから、作ってるときはもうガムシャラというか。終盤になると、メンバーに迷惑を少しかけたかなって思うところもあったぐらい、苦しみながらやってましたね。
-- 今回、バンドとしてひとつ前へ進んだ、まさにステップアップした内容だと感じて。軸がしっかりしながら、幅も広い。だから、あらかじめそういうイメージを持って制作に臨んだのかなと思ってたんですよね。
清水 あ~、なるほど。正直に言うと……『アメジスト』は原点回帰しなくてはいけないっていう気持ちで作っていたところもあって。周りから求められるモノ、例えば速い曲や哀愁だったり、そういうUNLIMITSらしさを改めて考えて、そこを追求していったんですよね。でも、この作品は今やりたいモノをどんどん作っていって並べた感じだったりする。そこが違うというか、また新しい感じで作れたのかなと。
-- 長くバンドをやっていくと、期待に応えたいっていう気持ちが重荷になったりもしますよね。
清水 それは凄くわかります。
-- そこに対して、いい区切りをつけられたことで、フラットに曲作りができたというのが大きかったのかもしれないですね。
清水 そうかもしれないです。ライヴもしかりなんですけど、気づいたら土台は出来上がってたみたいな感触もあるし。下積みは死ぬほどしたんで、あとは楽しくやりたいことをやっちゃいたいというか(笑)。それが楽曲にも反映されてるんでしょうね。
大月 だから、ちょっと語弊があるかもしれないですけど、使命感がない状況で作ったのって、実は初めてなのかなっていう気持ちもあったりして。
-- そういったスタンスで制作に臨んだところで、出来上がったモノに対して今までとは違った手触りや達成感があったりも?
石島 オレはありますね。メンバーの想いの純度が高いっていうか。この4人で作り上げたっていう気持ちが強いし、思い入れがいちばん強い作品にもなった。細部まで自分たちの想いが行き届いてるような感じがするんですよ。
郡島 イメージ的な話になっちゃうんですけど、球体があるとして、余計なモノを削ぎ落としながらもその密度がグッと濃くなって、これまで以上に磨き抜くことができたみたいな。で、さらに投げやすくもなったっていう。
-- より的確に想いを届けることができる実感があると。
清水 愛着が凄くあるからなのか、自分で聴き直すと細かい部分がいろいろ気になっちゃいますね(笑)。何だろう……ホントに細かいところにまでこだわったからこそ、余計にそう感じるのかもしれないですけど。
-- 先日、「ラストダンス」のMVが公開されましたけど、作品の扉としてこの曲を選んだ理由はどこにあったんですか?
大月 多くの人が最初に触れる曲として考えたとき、UNLIMITSとしてのポップキャッチーな要素もありつつ、リズム的には新しいこともしてるし、いちばん入り口になり得るのかなと。
郡島 それに、いちばん聴いて欲しい曲でもあるというか。いちばん最後に完成した曲で新しいこともしてるけど、UNLIMITSっぽい曲だし。できたときの感触も良かったんですよね。
石島 そうですね。扉としては、やっぱり「ラストダンス」がふさわしいのかなと。で、個人的なところだと、僕は「ナイトクルーズ」が凄く好きだったりもして。これまでにない部分もあり、サビなんか力強く歌ってるわけじゃないけど、気持よくメロディーと言葉が入ってくる。そこが伝わったら嬉しいなって。
-- 「ナイトクルーズ」はまた新しい歌のニュアンスがありますよね。そういったところも含めて、自由なアプローチがふんだんに詰め込まれた作品だなと。
石島 ウチらって、何面性もあるじゃないですか。それこそ、ワンマンライヴで全部を見せられる感じ。今回、そのワンマンライヴ感のボリュームがそのまま作品になったような印象もあるんです。
-- 例えば、「ロンリーブルー」で大胆にピアノをフィーチャーしたり、「シャーベット」では郡島さんが初めてメインヴォーカルを務めたり。かなり振り切れてますよね。
清水 それこそ、「シャーベット」なんかは今だからこそできた曲だと思ってて。昔だったらありえなかったし。
-- ちなみに、郡島さんがメインで歌うというアイデアが以前からあったんですか?
清水 やりたいなとはずっと思ってたんですけど、何だかできなくて。ただ、まさかこういう形になるとは予想してなかったですね。
郡島 それこそ、私が歌うんじゃなくて、ジマさん(石島)が歌うみたいなアイデアも当初はあったんですよ。
-- それはそれで面白そうですね。
大月 この曲はジマが作ってバンドへ持ってきたんで、それこそ最初は仮歌もジマが入れてきたから、それもアリかなっていう。
郡島 ただ、それは振り切れてるどころか、向こう側へ行き過ぎじゃないかと(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
郡島 で、仮歌を私が入れたとき、それがハマったんで、そのままやってみたっていう。
-- そういった思いっきりの良さが生まれた理由はどこにあると考えていますか?
郡島 何だろう……以前は「UNLIMITSはこうじゃなきゃいけない」みたいな部分もあったと思うんです。でも、そこが「自分たちがやったらUNLIMITSになる」って思えるようになったのかな。
清水 それに、壁をぶち壊すのって面白いですよね。こういう曲は作品のフックにもなるし、ライヴもより楽しみになる。そういう面白さを追求できた実感がありますよ。バンドとしても新しい一歩になるし。
-- 制作を進めていて、軸ができた感触があったから振り切れたのか。それとも、フワフワした部分がありつつも、そういったアプローチをしていったのかでいうと、どちらになります?
大月 制作の前半戦、作品の完成予想図がぼんやりとしてるときに「シャーベット」みたいな曲がでてきたわけではないんですけど、かなり早い段階から「ああいう曲があるといいな」とはみんな感じてましたね。
清水 ただ、制作を今になって振り返ると、アレンジを詰めるのが難しい曲が多くて、全体的にずっとフワフワしてたところもありましたね。それこそ、終盤まで不安感があったような。
郡島 やっぱり、実際にレコーディングをしてみないとわからない部分もあるんですよね。だから、最後の1曲まで安心することはなくて。
石島 ずっと緊張感がありましたよ。レコーディング前日までアレンジを詰めたりもしてたし。
-- では、レコーディングをしてみて、より感触が良くなった曲というと?
清水 私は「ラストダンス」かな~。録ってる段階からエンジニアさんと一緒になってワクワクしてたぐらい。で、完成した曲を聴いたら、想像よりも凄く良くなってて。あと、「最終列車」もレコーディングマジックがかかったんじゃないかと思ってて。この曲、レコーディング直前まで結構不安だったんです。でも、個人的なところでも歌録りがいちばん上手くいったと感じたし、みんなの演奏も凄く良くて。
石島 たしかに、「最終列車」はそういうところがありましたね。シンプルな曲だけに難しさもあったんですけど、上手くドライブ感が出せたなって。
-- グッと惹きつけるテンポ感もいい曲ですよね。
郡島 ドライブ感みたいなところだと、「あなたへの月」の後半も好きですね。ロックな感じが咲いたというか。これはカバーですけど、新しいUNLIMITSのニュアンスを見つけられそうだなって思うところもあって。
-- 「あなたへの月」の話題が出たのでお訊きしますけど、どうしてCoccoをカバーしようと?
清水 私がめちゃめちゃ影響を受けたアーティストなんです。高校1年か2年のときにこの曲が収録されている『クムイウタ』が出まして。そのころ、JUDY AND MARY、GLAYやLUNA SEAからHi-STANDARDへいき、バンドサウンドを聴きまくってたんですけど、そこにスッとCoccoの存在がカットインしてきたんですよね。このエモさに凄く惹かれて、そこからずっと聴き続けてるぐらい。だから、まずCoccoのカバーをやりたいと考えたんですけど、選曲はかなり悩みましたね。もう、原曲自体が全部素晴らしいので。
-- かなり作りこまれた世界観が構築されてますからね。
清水 カバーをするなら、原曲を超えるとまでは言わないですけど、ちゃんとリスペクトをこめて、自分たちなりにやりたいじゃないですか。そこがかなり難しくて。結果としては、サラッと聴いたらビックリするぐらいのアレンジに仕上げられたし、いい形になったかなと。
-- 『アメジスト』ではJITTERIN' JINNのカバーをしていて、今回はCocco。バンドが誰かのカバーをするときって、自分たちとはまったく違う音世界のアーティストを選ぶことが多いと思うんです。そんな中、UNLIMITSの音楽的志向とかけ離れてないところを選ぶのは、バンドの自信の表れかなと感じました。
清水 そう言ってもらえるのは凄く嬉しいですね。尻込みせず、チャレンジした感はありますし。
-- 好きなアーティストのカバーは楽しさもあるでしょうけど、実際に取り組んでみた印象としてはいかがでした?
大月 カバーって、バンドのスキルがいちばん出てしまうっていうか。それに、オリジナルのアーティストを凄くリスペクトしてる人にとっては、よりハードルも高く設定して聴かれるだろうし。難しさは当然のことながら、やっぱり緊張感もありますよね。
Vol.02へ続く
Intervew by ヤコウリュウジ
Interview Vol.02
-- では、曲についても伺っていきますが、作品の中盤に位置する「最終列車」が凄く印象的でして。UNLIMITSが持つ2つの武器、哀愁を帯びた疾走感と開けたポップなメロディーが融合した曲だなと感じたんです。伸ばしてきた枝が太い幹として合わさったというか。
大月 この曲に関してだと、さっきも言ってましたけど、清水がちょっと不安がってたというか。「これでいいのかな?」みたいなのがあったようでしたけど、僕はそんなことは思わなくて。
清水 いや! ツッキー(大月)の反応が悪かったはず(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
大月 あれ、そうだっけ?(笑)
清水 自分の中では、アタック感を意識して作った曲なんです。サビのメロディーとか、一定音が続いたり、ラップとまではいかないけど、言葉を詰めた疾走感を出したくて。ただ、バンドへ持っていったらメンバーの反応が薄い中、郡ちゃんが「これはいいよ」って言ってくれて。その言葉を信じて突き進んでみたら、最終的に凄く生まれ変わった。自分の不安感を超えて、いいところに着地してくれましたね。
郡島 サビの冒頭の感じが良かったんですよ。メロディアスというわけじゃないんだけど、気持ちがいい直線というか。凄くノリやすいなって。あと、ハモりも気持ちよさがありましたね。初めて聴いたときに感じた良さって、絶対に正しいと思うんです。
-- 直感には何のバイアスもかかってませんからね。
郡島 アレンジにはちょっと時間がかかりましたけど、いい形に仕上がりましたね。あと、歌詞も今のUNLIMITSに上手くハマったなと思ってて。
-- この曲の歌詞は清水さんと郡島さんの共作ですね。
郡島 最初は清水がひとりで担当する予定だったんです。ただ、なかなか進まないところもあって、歌録りの前日に半分ぐらいの状態でパスされて残りを私が書き上げました。
-- タイトルもそうですけど、どういったことをイメージして書いた歌詞なんでしょうか?
清水 サビの「最終列車に飛び乗って」というところだけ、メロディーと歌詞が同時に出てきたんですよ。そこから、「最終列車って何だろう?」と考えたとき、今の自分らの状況と似てるなと思って。もう、言ったらこの歳までバンドをやってて、崖っぷちではないですけど、このまま戻れないんじゃないかっていうギリギリ感みたいなモノはあったりするし。そういうことを郡ちゃんと2人で書けましたね。だから、歌詞が完成したとき、この曲の意味がやっと見えてきた部分もあったりして。
-- 最終列車っていう言葉だけを見るとネガティブな意味と捉える人もいるかもしれないですけど、そこに乗ろうとするのはポジティブな気持ちがあるからでしょうし、乗れればまた次へ繋がるという。
清水 そうですね。まだちゃんと乗れてると思います(笑)。
-- ハハハハ(笑)。歌詞に関してですと、他にも新しいニュアンスがあったりしますよね。郡島さんが書いた「ボーダーライン」、この愛憎入り乱れた感じは新境地なのかなと。
郡島 仮タイトルで「ドラマ」というのがあったので、そこからイメージを広げていって書いたんですよ。
-- これまで、郡島さんが書く歌詞は、どちらかと言うとメルヘンというか、お伽話のような柔らかさがある印象でした。
郡島 そうかもしれないですね。これは、自分の主観というよりも、ドロドロした歌詞にしたかったのもあって、清水の主観を乗り移らせて書いたところがあったりするんです。歌うのは清水だし、その方が感情をこめやすいかなって。
-- ということは、清水さんはドロドロした世界観をお持ちだと(笑)。
清水 そういうことになっちゃいますね(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
-- また、作品の終盤、「プリズム&ブルース」と「最後の言葉」と一気に哀愁と疾走感で畳み掛ける曲が並びました。これはUNLIMITSのパブリックイメージに近い曲ではありますよね。
清水 今まで聴いてきてくれた人たちに「待ってました!」みたく感じてもらえるようにと、後半にこの2曲を持ってきたんです。前半にカラフルでいろんなタイプの曲が並びつつ、後半にそういうのがあると最後まで気を抜かせないというか、飽きずに聴いてもらえるかなって。
大月 たしかに、奇をてらってとか、新しいことに挑戦しようっていう意気込みが他の曲に比べて少なかったりはしたんです。でも、これは僕らが持ってる要素ではあるし……何かこう、バンドを続けていくと、それがダメみたく思ってしまうときもあるじゃないですか。
-- いわゆるマンネリだと考えてしまうような。
大月 ですね。もちろん、挑戦し続けないといけないんですけど、今まで培ってきたモノや持ち味をそのまま出し続けることも必要だろうし。そこをあえて否定する必要もないですから。
-- そして、そこから続く最後に収録された「いまのこと」。これはバンドとしてチャレンジしたと感じました。
清水 あ~、たしかにチャレンジした感はありますね。イメージとしては、ちょっとシューゲイザーというか、フワフワした生ぬるい感じを出したかったんです。それが上手くまとまって、郡ちゃんの歌詞が乗ったことで、また生まれ変わったなと。
郡島 これは奇跡の1曲だったりもして。曲作り合宿へ行ったとき、「こういうリズムパターンの曲があったらいいな」と思って、PCでリズムを打ち込んでたんです。そうしたら、そこに清水が「こういうのができたよ」って聴かせてくれたメロディーと凄く合って、ひとつの曲になったという。
-- このヴォーカルの雰囲気も今までなかったですよね。
清水 100%で歌ってるんじゃなくて、抑え気味の優しい声でちょっとフワッとさせたかったんですよね。私、あんまりダブリングを使わないんですけど、そのイメージを具現化する為にこの曲では全編ダブリングにしてて。これは今までなかったですね。
-- こういった曲を締め括りに持ってくると、作品としての世界観もより高まるなと思いました。
清水 この曲が最後に入ったことによって、壮大な感じにできましたね。
石島 初めて聴いたときから、この曲は最後に収録するべきなのかなと思ってて。曲調は全然違うんですけど、OASISの「Don't Look Back in Anger」みたいなニュアンスを感じたんです。これが最後に流れると、いい空気でフィナーレを迎えられるみたいな。
-- ライヴのセットリストに関してはこれから詰めるんでしょうけど、「いまのこと」で締めるライヴというのも観てみたいと感じます。いい世界観が描かれそうですし。
清水 それも面白いですよね。ライヴに関してですと、ただ単純に曲をガーッとやるだけじゃなくて、ちょっとした演出とかもやっていきたいなとは思ってて。会場がライヴハウスだからできることは限られてるかもしれないけど、何かしらはやっていきたいなと。自分たちの最大限を見せられるように。
-- ツアーは7月30日の渋谷eggmanから始まります。
大月 曲って、ライヴでやっていくことによって育つ部分もあるじゃないですか。今の段階で、そこが予想できる曲もあれば、どうなるのかまだ見せない見えない曲もあって。そういった部分も楽しみながらやっていければなと思ってます。
-- 今回の曲で、ライヴのキーポイントになりそうな曲というと?
大月 僕は「最終列車」と「いまのこと」ですね。どのあたりに位置するかはまだわからないですけど、この2曲がキーポイントとなるような場所に落ち着くといいのかなって。
郡島 「いまのこと」かな~。どこに入るかによって聴こえ方も変わってきそうだし。
石島 キーポイントとはまたちょっと違うかもしれないんですけど、「tonight tonight tonight」と「ナイトクルーズ」が気になっていて。どちらも、いわゆるゴリゴリのUNLIMITS節とは対極に位置するような曲だと思うんです。で、こういう曲をライヴでやると、お客さんがいい意味で緩めるというか、笑顔になれたり、キラキラした感じが生まれる。全体の流れとして抑揚をつけることもできるし、楽しみにしてますね。
-- UNLIMITSのライヴにおいては、優しい曲だからこそ、刺激的だったりしますからね。
清水 ライヴのキーだったら「ラストダンス」になるのかな。会場が一体化しそうな、そこにいるみんなを連れていけるような曲だと思うんで。みんながどういう風に受け止めてくれるのかも楽しみですし。あと、面白さで言えば「シャーベット」がどうなるのか。まだ自分たちでも予測不可能なんですけど。
-- これまで、郡島さんがライヴで主線を歌うときって、清水さんはベース寄りの立ち位置になってたじゃないですか。「シャーベット」もそうなるんですかね?
清水 そこは観るまでのお楽しみにしておこうかなと……
郡島 まだどうやるか考えてません(笑)
一同 ハハハハ(笑)。
-- また、ツアー後半には全6本のワンマンも予定されています、やっぱり、ワンマンには特別感がありますか?
大月 ありますね。当然のことながら、その日のお客さんもスタッフもライヴハウスも、すべてがUNLIMITSの為に集まったり、動いてくれたりするわけじゃないですか。凄く感謝するし、同じ会場で同じ人数がいたとしても、いつもの対バンライヴとは雰囲気が違ったりもするんですよ。
-- 加えて、UNLIMITSの多面的な表情がすべからく楽しめる貴重な機会でもあると思います。
石島 僕ら、曲の幅が広いだけに、ワンマンでしか出せない部分というのもあるんです。言ってしまえば、そこで初めてUNLIMITSの全貌を知れるみたいな。もちろん、各地のツアーもそうなんですけど、ワンマンは是非観て欲しいんですよね。
-- 今回のリリースは久々ではありましたけど、その間もバンドとして興味深い動きをずっと続けてましたよね。だから、ツアー後もひと段落することなく、走り続けそうな予感はあります。
大月 全然ネガティブな意味じゃないんですけど、バンドのルーティンみたいなのってあるじゃないですか。曲を作って作品にまとめて、リリースしたらツアーをして、ファイナルを終えたらまた曲を作るみたいな。それを続けられるというのはありがたいことではあると思うんですけど……何て言うのか、リリースをしないと世間様的にはニュースがないみたいな状況になりがちというか。だから、リリースに追い立てられてしまうようなこともあったりして。
-- 実際、何年もリリースをしないと解散してるんじゃないかと思われることもありますからね。
大月 バンドによって、それが必要な時期もあるはずで。振り返ってみれば、僕らにもそういう時期はあったし。ただ、今の僕らにそれが必要かと聞かれたら、そうではないかなって。ちゃんと考えれば、バンド発信で何でもやれると思うんです。言ったら、リリースツアーはそのときに出した作品の曲がメインになるわけで、やれない曲がたくさんある。その発想から、それぞれの作品にフォーカスしたコンセプトワンマンをやり始めたし。だから、11月でツアーが終わっても歩みを止めることなく、面白いことをやっていけるのかなと。
-- 追い立てられて疲弊だけすることもあるでしょうしね。
大月 僕らみたいなバンドは、作品と同じぐらいライヴを大事にしてるって言うじゃないですか。だったら、そのライヴでも作品と同じぐらい、ただ曲をやるだけじゃなくて、面白いことはできるはずなんじゃないかなって思うし。この先、僕らだけに限らず、そこが大事になってくるだろうし、試される部分でもあるでしょうしね。
-- しかしながら、いつも以上にツアーが楽しみになってきましたよ。
清水 ライヴで曲を聴いて、家に帰ってからまた聴き直してみるとより良さに気づくことってあるじゃないですか。
-- あ~、ありますね。「こんなにいい曲だったのか!」って驚くこともあったり。
清水 私はそれを何度も味わってて。だから、UNLIMITSのライヴへ来た人にもそれを知って欲しいなと思ってるんです。ちょっとでっかい話になっちゃいますけど、同じ時代に生きているんなら、是非ライヴに来て、生身のUNLIMITSを味わって欲しいなと。
郡島 今回、タイトルの"U"にはUNLIMITSの頭文字という意味があるんですけど、そこにはあなたの"YOU"という意味も含んでて。あなたにとっても大切な作品に育てていけるよう、頑張っていいツアーをやっていきたいですね。
Intervew by ヤコウリュウジ